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地域課題に係る産学共同研究委託事業
応用コース
有機性汚泥の可溶化・メタン発酵技術によるバイオガスエネルギー変換プロセスの開発
[委託先団体] 山梨罐詰株式会社
[連携大学] 創価大学プランクトン工学研究所 理工学部 客員教授 中崎清彦
[連携団体] 静岡県工業技術研究所
目的
近年、循環型社会の構築および環境負荷の低い産業活動を目的とした取り組みが関心を集めています。令和4年度の『基礎コース』では、各種食品廃棄物をリサイクルするための可溶化研究を実施し、その結果、難分解性余剰汚泥の前処理操作にオゾン処理が効果的なことがわかりました。
そこで、令和5年度の『応用コース』では余剰汚泥に焦点を絞り、メタン発酵法と組み合わせることで、新規な余剰汚泥からのバイオガスエネルギー変換プロセスの開発を目指しました。
進捗状況
図1に示す実験装置で、メタン発酵試験を実施しました。
原料は、山梨罐詰株式会社の敷地内にある排水処理場から発生する余剰汚泥を用いました。余剰汚泥の全有機炭素濃度(TOC)および全窒素は、それぞれ3,500mg/Lおよび680mg/Lでした。
最初の実験区では、比較のために前処理操作なしの、余剰汚泥を直接メタン発酵する試験を重ねています。
[図1:実験装置の概要図]
図2に、有機物負荷およびメタンガス発生効率の経時変化を示します。
有機物負荷(mg-TOC/L/d)を段階的に増加したところ、メタンガス発生効率は100~200ml/g-TOC/dの範囲で推移しました。しかしながら、この値は一般的なメタン発酵法の効率と比べて低く、さらに原料の投入量をこれ以上増加させると微生物の流出が起こり、メタン発酵が不安定となる可能性が生じました。
[図2:メタンガス発生効率の経時変化]
このことから、余剰汚泥の微生物分解性を改善する、前処理が必要となることがわかりました。
今後は、余剰汚泥のオゾン処理や熱アルカリ処理を併用したメタン発酵試験を実施することで、前処理操作の有効性を評価していきます。さらに、分子生物学的手法により、余剰汚泥のメタン発酵のメカニズムをより詳細に明らかにします。最終的には、新規なバイオガスプロセスの提案に繋げていきます。
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