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地域課題に係る産学共同研究委託事業
基礎コース
昆虫でヒラメとアワビは育つか?-循環型養殖事業の社会実装を目指して-
[委託先団体] 株式会社マルカイ
[連携大学] 静岡大学農学部 教授 笹浪知宏
目的
用宗港のしらす漁業は地域にとって重要な産業であり、今後も継続維持していくことが望まれます。しかし、近年は不漁に悩まされており、天然資源に頼ったしらす漁だけでは、用宗港のような小規模漁業は立ち行かない状況に陥りつつあります。
アメリカミズアブ(BSF)は家畜や養殖魚の飼料として東南アジアやヨーロッパで大規模に生産されています。食品残渣などの安価な飼料で生産でき、成長スピードも速いことから、近年日本でも脚光を浴びつつあります。
[図1:循環型養殖事業]
そこで、BSFで代替した飼料により、ヒラメとアワビの養殖が可能か、循環型養殖事業(図1)として社会実装可能かの検討を行います。
進捗状況
BSF幼虫を乾燥・粉砕し、市販のヒラメ用飼料またはアワビ用飼料と1:1にて混合してBSF飼料を作成しました。ヒラメ種苗は静岡県温水利用研究センターから、メガイアワビの種苗は神奈川県栽培漁業センターからそれぞれ購入しました。給餌の条件は、市販飼料のみ、市販飼料:BSF飼料=1:1またはBSF飼料のみの3群構成としました。
ヒラメ、アワビともに1ヶ月ほどの飼育を継続していますが、すべての群の生残率に差は認められておりません。定期的に体重と体長を測定しており、ヒラメアワビともにBSF飼料の割合が高くなると成長に遅れが認められました。
BSF粉末の成分分析を行ったところ、たんぱく質含量が32.9%と低く、脂質含量が30.9%と高いことがわかりました。脱脂処理を行い、たんぱく質含量を増加させることで、飼料としての有用性を高められるのではないかと思われます。
[写真1:飼育中のヒラメ]
加えて、BSFを飼育した後に残った残渣を、培養土に添加して小松菜の栽培を行いました。その結果、BSF残渣を10%添加すると小松菜の成長が速まり、30日後の質重量も大きく増加しました。
引き続き、飼育と栽培を継続し、今後は市場調査も行う予定です。
[写真2:BSF残渣で育てた小松菜左から無添加、
化学肥料添加、BSF残渣10%添加]
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